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小山 勝氏
NPO法人「住宅・建築・都市政策支援集団」通称「まつつぐり助っ人隊」理事。
「中古住宅とリフォームを何とかしよう会」代表。
その見識と人脈の広さで一目置かれる存在である。
1970年 ミサワホーム入社。国家プロジェクト「ハウス55」責任者。
1985年 開発企画室長就任。
不動産情報登記税制評価システム協議会事務局次長、M・L・C研究会事務局長、福祉住環境研究会副会長、国有財産管理調査センター主任調査役など活躍。
リフォームで住宅の資産価値を上げる
小林 まずは「中古住宅の資産価値の向上」というテーマで、先生が考えていらっしゃることをお聞きしたいと思います。先生は「住宅は資産である」という考えを強く説いていらっしゃいますね。
小山 そう、住宅は資産なんですよ。前提として、「資産価値」には「流通性」という要素が重要なんですね。流通しないものには価値は付かないから。そういう意味でいくと、今までは住宅の売り手(造り手)が「流通性」を考えなかった。住まいを買ったら永久にそこに住むものだという考え方で住宅を造っていたんです。
小林 そうですね。
小山 そう思っていたのですが、買う側は違うんです。
買う方は、「不動産投資」として建物を買ったと言うんです。住宅を買ったといいながら、実際は不動産を買ったんです。
小林 なるほど。
小山 やっぱり、不動産というのは、資産価値が上がるという前提なんですね。でもその前提が崩れたわけです。日本の場合、住宅は買ったそばから価値が下がっていくんです。その価値のない住宅をリフォームして、「流通する価値を取り戻そう」というのが、私の根本思想です。
小林 私も同じように考えますね。いま先生は、価値を取り戻す方法を「リフォーム」の切り口で考えられている。それ以前に、先生がされていた活動で、不動産業者側で価値を取り戻してプライシング出来ないかというご提案もしていらっしゃいましたよね?そちらは厳しいのでしょうか?
小山 厳しいですね。現状は、不動産業界のビジネスモデルを、今度はリフォーム業界に持っていかないとまず難しいと思います。なぜかというと、不動産業界のビジネスモデルは「ものを作る立場」ではないんですよ。いわゆる「流通のみ」という立場でいるわけです。我々自身にも「流通」という意識は重要です。
何度も言いますが、流通しない商品には価値がつきませんから。ですから「資産価値を上げる」ということについては、「流通性」もキーワードになってくる。
不動産業界では、私自身1年間くらい活動させていただいて、「この業界はなかなか変わらないな」と感じました。そこで、最終的に、不動産の価値を上げるには「ものを作り変えていく立場」であるリフォーム業界しかないなと思ったんですよ。
そう思って、いまはリフォーム業界に参画している状態なんです。リフォーム業界の坂本竜馬になりたいと思って!
小林 竜馬ですか(笑)頼もしいですね。
小山 なぜ竜馬かと申しますと、やはり改革は一人でできるものではなくて、政府なり小林社長なりと一緒になってやっていかないと変わらないんですよ。世の中を変えようとしているんですから。ただ、世の中はまだ「住宅=資産である」ということに気づいていないんですよ。だから、私はその気づきを提言していきたいんです。
小林 なるほど、その通りですね。私も一人悶々と考えていました。いつか動くと確信はありましたが。是非、一緒にやらせてください!
小林 話は変わりますが、先生のお話でよく出てくる「インスペクション」というテーマがありますね。客観的な立場でユーザーの依頼で不動産物件を評価するシステムのことですが、それについてお話いただけますか。
小山 住宅は、百人百様の造り手と使い手がいる、という形態のなかで流通する商品であったのですね。それに共通の尺度はなかったんです。その状態だと正当な住宅価値を評価できないですよね。そこで、正当な価値評価をするには、共通の尺度を身に着けたプロしかないなと。そういったプロが行う検査・評価が重要だと思っております。
小林 具体的には、このインスペクションについては、どういう着地点をお考えですか?どのような展開をされるご予定でしょうか?
小山 いままで作った住宅は「流通しない」商品だったんです。中古住宅を流通させるには、検査とコンサルティングをして流通できる商品にグレードアップしていこうと。それが検査ビジネスです。
特に住宅産業は、検査ビジネスが相当に遅れています。アメリカでやっているものを日本でも定着させていかないといけない。ただ、アメリカと同じものではなく、日本独自のコンサルビジネスを作っていきたいと思います。
小林 そうすると今後はプロフェッショナルな方が検査をして、その方がアドバイザーとしてエンドユーザーのお客様にコンサルティングをするということですか?
小山 そう、そうしないとね、既存の流通しない腐ったプランとか、腐ったデザインはね、変わらないんです。
腐ったものは取り除いて、改善改良して流通する商品にしなくてはいけない。
今までの考え方は、何度も言ってますが「流通しない住宅」なんです。
時代的にそうだったんだから、今から言っても仕方がないけどね。
でも、いまはもう流通を求めている時代ですから、やっぱりプロが入って検査していかないと難しいと思いますよ。
小林 具体的にインスペクションを始めた事例はあるのでしょうか?
小山 あります。既にそういう業者や団体はありますし、検査をしていく動きも進んでいます。
検査だけではなくて、「バイヤーズエージェント」と言いまして、中古住宅を買う方の立場に立って全ての物事をトータルで判断していくビジネスですね。
ただ、日本には流通する住宅がない。その住宅を作りこむことが必要です。その作りこみは、もう新築の住宅メーカーではなくて、リフォーム業者が担っていくんですよ。
だから、リフォーム業界は大きな転換期に来ているんです。まだ殆どのリフォーム業者が、「修理・修繕」の世界にいるから読めないのであって、流通という意味で捉えたらリフォームマーケットは膨大なわけですよ。
小林社長は分かるでしょう?
小林 ええ、分かります。
小山 一般的にね、20年後も高く売れる住宅を造りましょうと言葉ではよく言うのですが、実際に20年後も売れる住宅というのはどんなものかという議論もしたことがない。
だから、腐ったプランや腐ったデザインになる。まあ、時代的にはそれはそれでよかったんです。ただ、デザインというのは伝染していくんです。いいものだけは残っていくんですよ。
それと、戸建住宅の場合は、やっぱり街並みが残らなければ価値はつかないです。
自分の家だけをを一生懸命リフォームしてやっても価値は上がっていかない。
マンションだって同じです。管理組合と共同で考えなければ、価値は上がっていかない。
小林 本当にそう思います。
小山 最近雑誌でよく見るんですが、価値のある住宅とはなんだ?といったら、駅から近いとか緑が多いとかそんな指標が多い。ただ、資産価値というのはもともとは本体そのものと周辺の街並みだと思うんですね。
本体は、デザイン・機能・性能の要素が三位一体でないと流通しないですね。
デザインは、内部外部ともです。性能は、耐震性能や住宅性能表示の10項目です。
機能は、高齢者に優しいとか家族構成にあっている設備が整っているということです。
小林 その辺りの具体的な定義というか、いわゆるインスペクションでのチェック項目というのは確立しているんですか?
小山 まだなんです。ここを確立していかなくてはいけないね。
小林 今後、3つの大きな柱である「デザイン・機能・性能」に対しては、どういった基準値をお考えなのでしょうか?
小山 これは時代とともに作っていくものだと思います。戦後何十年も家を作ってきてもコレといったものがまだない状況ですから。地域に応じたものでないといけないと思うんですよ。
特にリフォーム産業は地域密着で育てていくしかないなと思います。訪問型や移動型の販売方法があるとおかしくなっちゃうんですよ。
小林 この辺のチェック項目の設定が重要ですね。
小山 そうなんです。だいたいは決まっているんですけどね。
いまは住宅性能表示制度を用いながら、商品の共通化を図っているところです。
自分の家はすごくいい!ってみんな言うんだけど、共通の尺度から見たらどうなのか?そういう視点が重要ですね。
小林 最後に、これからリフォームを考えているお客様に先生からのアドバイスをお願いします。
小山 リフォームという言葉は非常に範囲が広いんですね。
メンテナンス・リフォーム・リノベーションという3つの段階がある。
資産価値を上げるリフォームというのは、間違いなく「リノベーション」なわけですよ。
ライフデザインさんで言ったら「リノマンション」ですね。いわゆる、新築以上のスペックを求めるリフォームが資産価値を上げるわけです。自分の家は資産だという認識であれば、リノベーションをして、資産価値を向上していくわけですよ。
小林 リフォームをする側の意識改革も必要というわけですね。
小山 そうです。住宅は資産であるという意識と、その上で価値を上げるためのリフォームをしようという意識です。
だから、トータルリフォームを考えないといけないですよね。虫食いリフォームや上辺だけのリフォームでは、価値は上がらないわけ。
時代に見合ったスペックを、住宅トータルで考えたリフォーム=リノベーションをしていかないといけない。
住宅は消耗品ではないわけだから。
これもおかしな話でね、消耗品だと思っているから、消費税がかけられているんですよ。
小林 これが8%になったら、もっとお客様に負担がかかる。住宅が消耗品っていうのはやはりおかしいですよね。
小山 固定資産税もかかっているのに、おかしい話ですよ。この点も私のこれからの改革テーマです。
小林 心強いですね。是非、今後ともご一緒に活動のお手伝いをさせてください。
今日はありがとうございました。リフォーム博のセミナーも楽しみにしております。
小山氏との対談についてのブログを読む。>>>mugiさんのブログ
2007年10月11日 ㈱ライフデザインにて



